姉の死

姉の死 vol.38

X氏のお迎えの時間、やっぱり彼の方が早く来てくれてた。 この日の予定、というか何故私がこのうどん県に泊まったのか。 それはこの日、弁護士さんと私を会わせてくれる段取りだった。 X氏は、私の負担を少しでも軽く、そして何かあった時に 自分以外にも助…

姉の死 vol.37

母の用件の話の前に、このホテルで過ごした話の続きを。 「部屋が広い、広すぎる」というのは疲れた体にはあまり優しくない。 というのも、トイレに行くにもちょっとあの荷物をと取りに行くのに いちいち遠くて面倒になってしまう。 それと、室内の温度調節…

姉の死 vol.36

さっさとお風呂を済ませて寝てしまいたいが、その前に宅配送る段取りと まともに夕食食べられなかったから夜食を買っておいたりと 売店やエレベーターなどをうろついていると 他のお客さんから「すみませーん」と従業員に間違えられること3回。 えええ???…

姉の死 vol.35

到着時は曇っていたか小雨がパラついていたのだが、晴れてる時は (拾い画像)こんな一大レジャー施設。 せっかく来たのだから宿泊場所は良いところで 少しでも楽しませてくれようというX氏のお心遣いだ。 「一部屋しか空いてなかった」と取ってくれた部屋…

姉の死 vol.34

時間は午後3時半くらいだっただろうか。 片付けをされるというP氏を残し、X氏と私は車でうどん県へと向かった。 この道中、時間はたっぷりあったので 私は相談に乗って欲しいと、息子の件で話をする。 正直なところこの段階では、X氏のアドバイスはまあ一…

姉の死 vol.33

2019年11月18日(月)。 前夜は本当に眠れず、一睡もできないまま朝を迎えた。 やべー、新幹線で寝れるかなと焦りつつも 母には会社の研修会で朝から仕事と嘘をついて黒スーツに身を包み 実家を出て某市行の新幹線に乗った。 新幹線の中では寝よう寝ようと頑…

姉の死 vol.32

あーあ、さすがにこの辺りの描写を記すのは気が重いし筆が重いな。 某市で何食べたとかホテルがどうのとかは書いてて楽しかったのに。 実家に到着。 チャイムを鳴らし、今まで感じたことのない重たい玄関の扉を開く。 母が出てきた。 X氏は、深々と挨拶とお…

姉の死 vol.31

2019年11月18日(日)、10時くらいに新幹線駅へ迎えに行くことに決まった。 ちょうど良い新幹線で来るだろうと改札入口で待ったが、X氏がいない。 あれ?この新幹線じゃないのか?と連絡してみたところ 既に駅の玄関に到着していた。 どうやら、万が一でも…

姉の死 vol.31

母からの留守電には「お姉ちゃんが死んだと(姉の元夫)から電話があった」と。 ああ、遂に来たか。思ったより早くこの日が来たんだな。 この時先にどっちに電話したかなあ、多分母に電話かけたんだったと思う。 母の説明では、健康保険から姉の死亡の通知が…

姉の死 vol.30

姉が亡くなったと警察から電話があった。 死後11日目に遺体を引き取りに行き、事情聴取。 両親にも姉の家族にも内緒にしたまま 警察署を出たその足で火葬場へ直行し、荼毘に付した。 姉が亡くなったことはこれから一生隠し続ける。 でもいつかはバレる日が来…

姉の死 vol.29

A駅に着いた。 駐車場に車を停め下車したところで、封筒を差し出された。 「この度は突然迷惑をかけたから……」とのことで 固辞したものの渡された。 今回と、次回四十九日での足代にとのこと。 ぶっちゃけ、相当有難い。 後で確認したら中には10万円入って…

姉の死 vol.28

さて、これからのこと。 X氏は姉のお骨を、落ち着いたら姉が生前「こんなとこに眠りたい」と言ってた 霊園へお墓を作ろうと考えていたようだ。 もしくはお経をあげてもらったお寺の口利き?でどこかへ納骨?し 10年後か20年後に京都の本山?に移されるとか…

姉の死 vol.27

瀬戸大橋を渡り切り、インターで降りた。 私が勤めるホテルチェーンの支店が見えた。 X氏は、せっかくだから姉が好きだったうどん屋と 姉の住所を一時期移した場所?にも行ってみようと車を走らせた。 姉の住所を一時期移してたアパート?事情は聞いたんだけ…

姉の死 vol.26

ホテルを出た私たち。 本来ならそのまま車でA駅へ送ってもらうだけだったが X氏は「せっかくだから」と先述の遊園地へ寄ってくれた。 これが正面入り口。 30年前はもっと賑やかで華やかだったんだろうけど ちょっと寂れた感じがする。 この遊園地はX氏と姉の…

姉の死 vol.25

そういや書いてなかったかも、私とX氏には不思議な共通点がある。 それは名前、下の名前だ。 私はとても平凡でありふれた名なのだが、漢字は一般的でなく あまり使われない漢字で書く。当て字ではないし読み間違いはされないが その名前でその漢字はあまり見…

姉の死 vol.24

前回も書いたけど、今回の姉の一件では幾つもの運命の輪というか 偶然とは言えない、運命に紐づけられたことがあるのだが そのうちの一番大きな運命の輪である、この日のホテル選び。 元々はA県の中心の駅前のシティホテルに私の宿を取ってくださる予定だっ…

姉の死 vol.23

姉の家を後にし、夕食を摂ることになった。 入ったお店は昼間と同じとこ。昼と夜で同じ店をチョイスって新しいなー。 このパターンはお初かも。 まあ、とても好きな感じのお店だから大歓迎だけど。 記しておこうかな、お店は「かもがた茶屋」という和食処。 …

姉の死 vol.22

辺りはすっかり暗くなり、小雨がパラつく中をしばらく車を走らせ 姉が住んでいた家に到着した。 いやはや凄い。 自分のボキャブラリが少な過ぎてこの家の凄さを表現できないのが残念。 X氏が裕福なのは知っていたし、過去の姉からのメールで広い家に住んでる…

姉の死 vol.21

火葬場へ着くと、霊柩車は正面玄関に着けて先に私を降ろして 姉の棺を降ろす準備を始められた。 X氏とP氏は一般駐車場に誘導されたようでまだ来られない。 この隙に……ってわけじゃないけど、スマホをそっと取り出して写真を撮った。 霊柩車から降ろされよう…

姉の死 vol.20

警察の霊安室へ通された。 ドラマとかだと台の上に遺体が寝かせられて白い布がかけられてて その布をめくって泣き崩れる……というシーンを見た気がするが 現実はちょっと違った。 違うというか、私らの事情聴取が長引いてしまったため 待つ間に葬儀屋さんが全…

姉の死 vol.19

警察署の建物内へ足を踏み入れた。 それまで車内では3人わりと和やかに話をしていたのだが さすがに口数が減り、ピリリとした空気が漂った。 警察署内の、2~3畳しかない小さな部屋に通された。 おおー、これって取調室なのか?窓に鉄格子は無いけど。 今考…

姉の死 vol.18

昼食を終え、車は某市警察署へ向かった。 そういや書いてなかったな、なぜ私の元へ刑事さんから連絡が来たのか。 姉の死亡当日、家に帰ったX氏は姉が倒れてるのを発見。 傍には遺書があった。 大慌てで救急車を呼んだところ、5分くらいで救急車と警察が到着…

姉の死 vol.17

昼食を摂るとのことで、国道沿いの和食処へ入った。 お寿司とうどんのセットとかちょっと豪華な定食っぽいお膳とかで メニューが豊富で店内が広々としてる、割とどこでも見かける感じのお店。 落ち着ける、私の好きな感じのお店だ。 さっきカツ丼を食べてし…

姉の死 vol.16

車が発車するとすぐ、X氏はある提案をしてきた。 姉の夫に会って話をしたいという。 正直私は反対だ、彼らが会う必要性を感じなかった。 X氏は「お姉さんの旦那さんってどんな人ですか?」と訊いてきた。 どんな人、どんな人、うーん。なんて言おうか。 で、…

姉の死 vol.15

近づいてきたのは、背の高いイケメン紳士。 あれ?先に秘書が迎えに来た?本人は??というのが率直な感想。 諸々ややこしい事情を抱えた姉の面倒を見るなんて ぶっちゃけ、金だけ持ってるハゲデブチビなオッサンだろうと想像していた。 が、まるで違う。 す…

姉の死 Vol.14

古いエントリで書いてたっけな、この日から7年前に 私の息子の部活の大きな試合がA県内で行われるのを観戦に来たついでに 姉とA駅で待ち合わせをしたことがある。 駅のロータリーにある桃太郎像の前で待ち合わせをして 駅の傍のシティホテル最上階の高級フレ…

姉の死 vol.13

ここからはわかる範囲内で日付を入れておこう。 姉の遺体を引き取りに警察へ行く日は、2019年10月18日に決まった。 10月18日午前11時、新幹線停車駅であるA駅でX氏と待ち合わせすることに。 そういや書いてなかったんだけど、姉が死んだと電話を受けて以来 …

姉の死 vol.12

さっきのエントリでちょっと触れた、私の親に打ち明けるかという話になった件。 一度は、親にも姉の夫にも息子にも絶対に内緒にコトを進める話になった。 しかし、どうやら一生内緒にしておくことは不可能ということがわかった。 刑事さんには「市役所に相談…

姉の死 vol.11

命日が近づき、この連載を書くのがちょっとつらくなってきた。 でももう1年近くなるのにまだ話が全然進んでないからなー。 X氏からは日に何度も電話があった。 警察への引き取りから様々な手配を一任していたので何か確認事項がある時とか 一時は、私の親に…

姉の死 vol.10

時間のある時にどんどん書き進める連載。 スマホの着信が鳴った。表示を見ると「Xさん」と出ている。 ああそうか、7年前に会った時に「万一に備えて」って 彼の番号を登録させられてたんだ。 電話を取った。相手は「Xと申します」と言った。 続けて「この度…