姉の死 vol.13

ここからはわかる範囲内で日付を入れておこう。

姉の遺体を引き取りに警察へ行く日は、2019年10月18日に決まった。

10月18日午前11時、新幹線停車駅であるA駅でX氏と待ち合わせすることに。

 

そういや書いてなかったんだけど、姉が死んだと電話を受けて以来

私の体調に異変が起こった。

とにかくトイレが近くてたまらない。10分くらいですぐ尿意を催し

なんでこんなに水分が?ってくらいジャンジャン出る。

元々トイレは近かったし何かにつけて行きたくなってたんだけど

今回は異常だ、しっこ止まらない。ずっと止まらない。

 

しっこ止まらないので駅でのトイレタイムを確保することもあり

(何しろA駅は駅の規模の割にトイレの数がめちゃ少ないのは過去に学んでる)

元々の性分で待ち合わせには相当余裕を持って行くこともあり

10時58分頃A駅に着くちょうど良い新幹線ではなく

1~2本早い便で行くことにした。

途中乗換なくA駅に着く新幹線は9時半着だった。

まあいい、荷物をコインロッカーに入れて適当に街をぶらついて時間を潰そう、

軽く何か食べておいてもいいし。

 

しっこ止まらないので新幹線内でも何度トイレに席を立ったことか。

15分おきには行ってたよな。

付近の席の人は私のこと何やってんだろ落ち着かねー奴と思ったかも。

 

A駅に着いたら、予想外の出来事が待ち受けていた。

待ち合わせ時間より1時間半も早く着いたのだが

ちょうどこの時A県でG20会議が行われるそうで

駅の全てのコインロッカーが封鎖されていた。

えー、キャリーケース持ったままうろつかなきゃいけないのかー。

 

しかも10月にしては珍しく、しかもA県は「晴れの国」なのに

この日は雨がパラついていた。運悪いー。

 

キャリーケースごろごろ引き摺って雨の中うろつくこともできず

仕方ないから飲食店に入ろう、確か駅前にサイゼリアあったし、と思ったら

サイゼリアはまさかの11時開店。

雨に濡れたくないのでアーケードに入るも、空いてる飲食店は小さな食堂のみ。

仕方ないかと食堂に入り、お腹空いてたのでカツ丼を頼んだ。

小さな食堂で1時間半も時間を潰せるわけでなく、仕方ないので

駅前のヨドバシデンキへ入った。

キャリーケースをゴロゴロと引き摺りながら店内をうろつけるわけでなく

大半をトイレで過ごしたっけな。

 

過去一度A駅に来たことがあるが私は知らなかったんだ。

A駅には百貨店に続く地下街があり、お茶するとことかお店とかナンボでもあったことを……。

 

いつまでもヨドバシのトイレにもいられず、A駅のロータリーで

なるべく濡れないところに座って時間を潰した。

 

そして時計は10時45分を指した。

X氏に「到着しました、ご都合の良い場所をご指定ください」とSMSを入れた。

 

数分後、X氏から今どちらにいらっしゃいますかと電話が入る。

いよいよX氏と会う瞬間だ……。