姉の死 vol.37

母の用件の話の前に、このホテルで過ごした話の続きを。

 

「部屋が広い、広すぎる」というのは疲れた体にはあまり優しくない。

というのも、トイレに行くにもちょっとあの荷物をと取りに行くのに

いちいち遠くて面倒になってしまう。

それと、室内の温度調節でエアコンの温度を設定しても

それが部屋全体に効いてくるまでに時間がかかる。

X氏にいただいたブランド品や不要な荷物を箱に詰めて

またまた時間のかかるエレベーターに乗り売店へ行く。

ああ、いちいち遠い。いちいち時間がかかる。

 

あと思ったのが、この部屋は8人利用でありながら

アメニティは2人分しか置いてなかった。

ホテル側は2名での予約だと思ったからそれだけの準備をしたのだろうが

職業ホテルマンの私、それが結構面倒なことを知っている。

面倒でもきちんと指示出してやってんだと感心した。

 

ちなみに朝食も夕食会場と一緒で

端っこの席だったのがまだマシだったとはいえ、ホント落ち着かない。

しかもドリンクもどこに何があるかよくわからん。

紅茶とクロワッサンだけいただいてさっさと会場を後にした。

X氏との待ち合わせまで部屋でのんびりし

もう二度とないであろう一大レジャーホテルのスイートを堪能。

堪能といってもゴロゴロしただけだけどね。

ウロウロする元気は無かった。

 

さて、母の電話の用件の話へ。

甥(私の従兄)から連絡があって

母の姉(私の伯母)が年内までしか持たないだろうと言われたと。

東京に最期の面会に行きたい、という話だった。

 

この時母は体が不自由で、東京どころか車に30分も乗れない状態。

たとえば無理して東京に行ったとしても、無理がたたって

今以上に状態が悪くなる可能性が大きい。

なので、あまり賛成は出来ないよと言ってその日は電話を終えた。

 

しかし、私はつい最近姉を亡くした身だ。

姉を亡くした私が、姉が亡くなろうとしている母が最期に会いたいというのを

止めることなんでできるわけがない。

翌朝メールで、どうやったら母にとって一番ラクに東京に行けるか

(私と母だけで行くのか、父も連れていくのか、交通手段は)とやり取りした。

どうにかして連れて行ってあげたいけど、問題は山積みだ。

 

こんな時に相談に乗ってもらえる人物がいる。

言うまでもなく、X氏だ。