姉の死 vol.10

時間のある時にどんどん書き進める連載。

 

スマホの着信が鳴った。表示を見ると「Xさん」と出ている。

ああそうか、7年前に会った時に「万一に備えて」って

彼の番号を登録させられてたんだ。

 

電話を取った。相手は「Xと申します」と言った。

続けて「この度はお姉さんのことで本当に申し訳ございません」と言ってきた。

いやいやとんでもない、こっちは貴方にどれだけ姉が助けられたか知ってるよ、

こちらこそ迷惑かけまくって本当に申し訳ない。

2、3言やり取りを交わした頃、相手が電話口でオイオイ泣き出した。

「声が(姉)子にそっくりで……」と。

だろうな、姉と私は顔立ちはそんなに似てない

(ただし「姉妹です」と言えば「あーなるほど」程度には似てる)けど

声は本当にまるっきりそっくりで誰もが間違えてたんだよ。

 

今後のコトの進め方に関しては、自分に一任して欲しいとのことだった。

そりゃその方が私は助かる、お任せすることに。

とりあえずいつ私は現地に行ったら良いのか、なんならすぐに出発して

ホテルで待機しても構わないと言ったのだが

それはまだいい、まだ大丈夫とのことだった。

こっちは正直居ても立ってもいられない、現地に行ってもいいんだがなーと思いつつ

まあでもその分ホテル代とかかさまなくていいのか、なんて呑気なことを考えた。

 

警察への連絡や打ち合わせ、葬儀屋の手配等、全て請け負ってくださるそうで

私はただ、何もせずに待ち続けた。

この電話の後実際に会うまで10回以上は電話のやり取りがあった。

この日だったか翌日だったかが友引で葬儀屋が休みで一切連絡が取れなかったそう。