姉の死 vol.15

近づいてきたのは、背の高いイケメン紳士。

あれ?先に秘書が迎えに来た?本人は??というのが率直な感想。

 

諸々ややこしい事情を抱えた姉の面倒を見るなんて

ぶっちゃけ、金だけ持ってるハゲデブチビなオッサンだろうと想像していた。

が、まるで違う。

すらりと背が高くカッコ良くて某俳優にちょっと似ていて

とてもじゃないけど女性に不自由しなさそうな紳士。

えーこの人が!?

 

X氏は初対面で深々と頭を下げ、ご案内しますと駐車場に向かった。

私のキャリーを持ってくださったのだが、ゴロゴロ転がしていいのに

重いバッグをわざわざ地面につかないよう持ち上げて運んでくださった。

 

黒塗りの某高級車に着いたら、もうひとり男性が立っていた。

ああこっちが秘書か。

正直、この方のルックスの方がX氏の想像に近かった。

 

キャリーをトランクに入れてくださり、後部座席を案内された。

こんな高級車乗るの、生まれて初めてだよー。

運転は秘書、助手席にX氏が乗り、車は走り出した。