姉の死 vol.41

X氏が両親の元へ話に来たのが11月18日、

某市で姉の四十九日法要を執り行ったのが19日、

X氏が姉の遺骨を連れて帰ったのが21日。

この数日間は私もX氏もあちこち移動で大変だった。

 

21日、X氏が遺骨を連れて帰る日。

確か18日に「じゃあ21日の昼食は姉が学生時代バイトしてた和食処へ行こう」

って話をしてたはずなのに、急遽前日になって頑固親父が

「姉子を殺した男とメシなんか食いに行けるか」とボケたことを言い出したそうで

母は困って、出来合いのお寿司を準備したそうな。

父にも困ったもんだ。

X氏は「姉子とお父さんは(頑固なところが)よく似てる」と言っていた。

 

当日、X氏は大事そうに姉の遺骨を抱いて来られた。

ずっと持っておきたいだろうに、手放すことになってしまい申し訳ない。

 

私の車が家に近づいたころ、渡すものがあるからちょっと寄ってくれと

コンビニの駐車場に車を停めることになった。

先日X氏にも話した母の東京行き、「姉子と俺に親孝行をさせてくれ」と

見覚えのある封筒を渡された。

それは、警察が押収して事情聴取の日に返された姉の現金。

一応引受人として私が署名印鑑で返してもらった形ではあるのだが

このお金はX氏のものだと、彼に渡していた、それをそのまま渡された。

 

正直、経済的に助けていただくのは本当に有難かった。

 

X氏は飛行機のプレミアムシートを勧めてくださったが

母は、痛みが出たらデッキへ歩いたりうろうろできる新幹線を希望した。

まあ、実家から空港まで車で1時間かかるのでそれだけで結構しんどいし

飛行機ってなんだかんだで時間かかるから

新幹線(駅まで20分ちょい)、乗ってる時間4時間半なら所要時間は変わりない。

母のために、親子3人往復グリーン車を取った。

交通費だけで18万弱、このお金で贅沢をさせてもらった。

X氏はせっかくだからホテルも最高のところを取ってくれと言われたが

遠方になると母の体に負担がかかるため、宿は最寄り駅隣接の普通のビジホで。

しかし、グリーン車は本当に乗っててラクだな。疲れが全然違う。

乗ってる時間もすごく短く感じた。クセになりそう。

 

さて話を戻して、遺骨を連れて実家に着いた。

 

実は記憶がおぼろげなのだが、多分この日午後からお寺さんを呼んで

(実は2回目の)四十九日法要を父の手で行った。

もしくは12/8だったような気がするけど

この日は多分「クリスマスだから」ってX氏が来たんだよな確か。

 

ウチの宗派のお寺さんは、ストイックだ。

某市でお世話になった住職さんの奥様が金髪で俗っぽかったので

尚更質素なこちらのお坊さんのストイックさが際立つ。

ウチに着いた早々、お水を一杯くださいと水だけ飲まれてお経をあげる。

 

後から聞いたのだがこのお坊さんは、X氏と父に対して

「あなたは姉子の夫ではなくなった、父親ではなくなった」と話したそうで

その厳しさにX氏は驚いていた。

某市で間違えた宗派は、亡くなった人は修業しなくても極楽浄土に行ける。

しかしこのストイックなウチの宗派は、修行が要る。

姉子は努力が嫌いなのに修行なんて大丈夫だろうかとX氏は今でも心配している。