姉の死 vol.55

3月22日、X氏が来訪。

先月末まではマスク着用しながらもどうにか……という感じだったが

この頃にはもう新型コロナウイルスが日本中を席巻していた。

新幹線はガラガラだったそうな。

 

マスクは手に入らなくなっていた。

なのにX氏は、医療関係者から手に入れたとマスクを3箱持ってきてくださった。

(両親と私の分)

この方は、どれだけ私の家族に尽くしてくださるのか。

 

母はまたもや、食べ切れないほどの大量の昼食を作り

そして、手作り(デコレーションのみだけど)ケーキを準備する。

父はX氏がいる最中でもうとうととうたた寝する。

オイコラ親父と思ったけど、それだけ気を許しているのだろう。

初めてX氏がウチに来た時を思えば、考えられない状況だ。

 

X氏は「姉子はもういないけど、山口に来たら会えると楽しみに来ている」と言う。

 

この数か月で、X氏はウチの家族になった。

月に何度かこんな風に遊びに来てゴハン食べて、

今度は泊りがけで来てみんなで遊びに行こう、なんて話もした。

4月下旬はX氏の誕生日とのこと、じゃあウチで一緒にお祝いしようとも。

 

……が、次にX氏が我が家を訪れるのはこれから

ずっとずっとずっと先まで待つことになるとは。