姉の死 vol.9

なるほど、このブログは1日に投稿できる件数が決まってるのかと思ってたけど

時間を置かないと前の記事のバックアップが出ちゃうので

それをクリアすれば連続投稿出来るのね。

 

話の続き。

X氏からの電話を待つ間、こちらも準備できることはしておかないと。

まずは仕事だ。

この電話を受けた日は休みで、翌日から2連勤、2連休というシフトだった。

何がどうなるかわからないけれど、とりあえず翌日と翌々日を休めれば

4連休になるので、この間にどうにか動くだろうから

それ以降はまた様子を見て休みをお願いするしかないか。

 

店舗責任者が会議で不在だったので、社員の子に伝言を頼もうと職場に電話した。

社員さんはわりと仲の良い子なので、私も気が緩んでしまって

「姉が亡くなったので……」と言った途端にダーダーと泣いてしまった。

 

伝言は頼んだものの、そういや店舗責任者のLINE知ってたっけと

念のためLINEで連絡を入れた。

「自然死でなかったためどんなスケジュールになるか不明」と書き添えて

最悪、4連休が明けてからも休みを取りやすいようにしておいた。

 

家を空けるとなると、主人には言っておかなければならない。

電話し、ダーダー泣きながら姉が亡くなったと連絡があったことを伝え

いつ現地に行くかわからないから、と伝えた。

まあ、何日留守しようがコイツの方はどうでもいい。

 

最大の問題は、両親に何というか、である。

A県に行くと言えば当然一緒に来るだろうが、この時母は体が不自由で

新幹線や車に乗ることも現地で移動することも無理だった。

というかそれ以前に、こんな悲しみを両親に与えてしまって良いのか?

 

現段階では両親にとって、姉は失踪したまま10年会ってない。

無事でいることは私を通じてふわっと知らせてはいるものの

それ以外は何も知らない。

ということは、失踪した人間が死んだところで

その事実を知らせなければこのまま済むのではないか、と思った。

 

両親はあと10年くらいで亡くなるだろう。

それまでの10年間、平穏な気持ちで過ごして人生を終えるか

それとも娘が自殺したなんてこの世で一番つらい悲しみを抱えたまま

10年苦しみながら生きていくのか……。

 

もしかして、前者でもいいんじゃないか。

悲しんで苦しむのは私ひとり、それ以外は誰も何も知らなくていいのでは?

 

そんなことを考えながら、電話の子機を握ったり離したりしながら

X氏からの連絡を待つ間、荷造りを進めていた。

現地へ向かうのは黒のパンツスーツに白シャツでいいだろう、

喪服はどうしよう、着替える場所とかあるのか?つか要るのか?

数珠と袱紗と、着替えは何日分入れておこうか?

お金はとりあえず幾ら必要だろうか?

この時点で午後3時、車を飛ばして新幹線停車駅へ行き

新幹線に飛び乗れば夜には現地に入れるだろう。

ホテル取れるかなあ、なんて考えつつ。

 

そんなこんなで、刑事さんからの電話を切ってから2時間後

私の携帯に、着信が鳴った……。