姉の死 Vol.8

突然「遺体を引き取りにA県まで来て」と言われても

一体何をどうすればいいのかまるでわからない。

普通はこういう経験しないものだしな。

自分の車に遺体を乗せて高速を長距離運転で帰るのか??

とか、いろんな思いが頭の中をぐるぐると巡る。

刑事さんに「一般車両に乗せても良いのでしょうか?」と訊いたら

「それは法律で禁止されています、葬儀屋の車の手配して云々~」とのこと。

そりゃそうだよな。

 

と、どうすりゃいいだろうといろいろ考えていたところ

刑事さんがこう仰った。

「お姉さんが親しくされていた方が協力してくださるとのことですので

その方といろいろ相談してみてください」

 

その方のことは知っていた。

姉のメールでも会った時にも話は聞いていた。

平たく言えば、失踪して数年後から姉がとてもお世話になった方で

まあ要は、恋人だ。

「自分に何かあったらX氏からダリアに連絡がいくから」と

姉から聞かされたことがある。

 

「その方ってX氏という方ですか?」「はい、そうです」

刑事さんとの話はスムーズに進んだ。

「ではX氏に、ダリアさんと連絡がついたとお知らせしますので

 X氏からの電話をお待ちください、そしてご相談ください」ということに。

 

刑事さんとの電話を切り、X氏からの連絡を待つことに。