姉の死 vol.61

まさかこんな状況になるなんてと予想だにしないまま

X氏は、3月から半年以上姉(の遺骨)に会えていない。

このままX氏不在で納骨を終えてしまうとX氏はずっと姉に会えないまま。

次にウチに来ても、姉の遺骨はもうそこにおらず墓の下に行ってしまっている。

お墓に入れる時にも立ち会えないまま、一生会えないのだ……。

 

そんなんダメだ、絶対ダメだ。

納骨に姉の息子が来るから遠慮するというならば

せめて納骨する前に会いに来い、最後に遺骨を好きなだけ抱きしめに来い!と

半ば強引にX氏を誘った。

 

というわけで、9月26日(土)、7か月ぶりにX氏が来訪。

 

玄関先で再開した母とX氏は、半泣きでハグを交わした。

 

遺骨に再会したX氏はオイオイ泣いた。

 

昼食後、ずっと渡せてなかった誕生日のプレゼントを渡した。

書いてなかったな、X氏のフルネームで名前詩を作ってもらってたんだ。

X氏がいつも言ってる「感謝」という題字を入れて

商売繁盛を願って宝船のイラスト入りで

X氏のフルネームを頭文字に、経営者としての力強さと

私たちが出会えたこと、このご縁に感謝してるというメッセージと

これから先、幸せに生きて人生を歩んでねという意味を込めた詩だ。

なかなか上出来な詩だと思う。

渡せて良かった。

 

父が「彼に彼岸花を見せてやろう」と言い出し

4人で彼岸花の名所、ウチの近所の神社へ行った。

神社は今まで見たことがないような人出で、一番の見頃だった。

時々来たことがあるが、こんなに見頃真っ盛りなのは初めてだ。

姉が見せてくれたのかなあ。

 

次は近所の滝へ。

父は入口で野良猫に構っていたので3人で滝へ向かった。

足元が悪かったからかX氏は母の手を取り、そのままずっと手を繋いでいた。

 

家に戻った後、X氏は姉の遺骨を膝の上に乗せたまま

猫の子を撫でるようにずっと遺骨を撫でていた。

遺骨に結んである飾り紐(なんていうのか知らない)を整えながら

「姉子は髪型が決まらないと出かけるの止めてた」と言ってた。

なんつー我儘な姉。というか、そこまで我儘を言えるってことは

それだけ甘えられたということ。

甘えも我儘も何でもぶつけられたんだろう。

 

さて、ここで衝撃の?事件?が。

母曰く、姉の息子は命日には来ないというのだ。

なんでも仕事を変わったとかで忙しいそうで。

「だったらX氏が来ればいいじゃん!」と推した。

父は「そんな何度も来させるなんて申し訳ない」と言ってたが

でも、姉の息子が来ないならX氏が来ていいじゃん。

X氏はその場では明言を避けた。

 

夕方、X氏を駅まで送り恒例の?ホテルのラウンジでお茶。

いつもの2階ラウンジがコロナの影響で閉まっており

1階レストランでお茶だけいただいた。

 

X氏から「本当に姉の息子さんは来ないのか再確認したい」とのことで

私がLINEを入れると、お茶してる最中に返事があって

やはり来ない、祖母(私の母)にも伝えてますとのこと。

 

それならX氏、一周忌と納骨に来ると決まった。