姉の死 vol.60

姉の初盆は8月2日に執り行うことになった。

当然X氏も呼んだのだが、コロナのこともあってご辞退された。

 

初盆はまあ、お経あげるだけだしある意味来れなくても仕方ない。

が、納骨だけはガスマスクしてでも来いと言っていた。

X氏は現在の拠点は大阪であり、仕事であちこち行っている。

このコロナ禍でも仕事で山口に来たり

山口を通過して北九州に行ったりもしてるらしい。

でも、両親にコロナを持ち込みたくないとのことで

我が家への来訪を遠慮されていた。

 

納骨は一周忌の日に執り行うようで

日程は、姉の命日である10月7日に決まった。

この日は絶対来てね、とX氏に言っていた。

 

なのだが。

 

8月下旬、姉の息子から「命日の日に来たい」と連絡があった。

 

コロナでなければ姉の息子とじっくり話をしたり

場合によってはX氏と会わせたりしたかもしれない。

しかし、会う機会話す機会を設けることができず、

姉の息子は事情をまるで知らないままだ。

この状況で突然Xとバッタリ会ってしまうという事態は避けたい。

 

私は姉の息子に「コロナが心配だし長距離運転が心配だ、

あなたが一番大事なのだから今は無理しないで」と

遠回しに断る文面をLINEで送った。

 

母に話した。一応X氏にも言っておかなければならない。

 

この話をX氏にしたところ

「どうか息子さんに来てもらってくれ、自分は遠慮するから」とのこと。

だよな、彼ならそう言うに決まってる。

母はどうしたら良いのか決めかねていた。

 

とりあえず母から姉の息子へ「来れそうなら来ていいよ」と連絡してもらったら

「行くかどうかわからない」との返事だった。

これをX氏に伝えると「でもやっぱり息子さんを優先で」と、辞退の様子。

 

姉はどうなんだろう。

自分の納骨に、息子に来て欲しいのか、それとも恋人に来て欲しいのか。

 

遺書には、息子も含め家族に対する記述は一切無かった。