姉の死 vol.2

他界する10年くらい前に、姉は突然失踪した。

姉の夫に原因を聞いても埒が明かずグチグチ言うだけだし

誰も事情を知らず、本当にわけがわからなかった。

母が「きっと姉の夫に殺されて山中に捨てられてる」と言い出して

警察に行こうとするのを、私と父が必死に止めた。

姉の夫が捜索願を出したようだが、見つかることもなく

だんだんと両親と私の間では姉の話題はタブーになってきた。

そうしないと母の精神状態が持たなかった。

 

とはいえ私の方は、姉の人生なんだから好きにすればいいと思っていた。

おそらく手を貸している人がいるんだろうし

人はそう簡単に死なないだろう、きっとどっかで生きてるだろうと。

なので母を気遣いつつも、姉のことを深く詮索するつもりはなかった。

 

何の手がかりもないまま3年が過ぎようとする頃

ある男性が、突然私の家を訪ねてきた。

「お姉さんのことで情報があります」と。

この男は姉のストーカーで、腹いせ?に私の元へ情報暴露しに来たのだ。

それと、私を味方にしようと目論んでたっぽい。

思い出すのもムカつくほどのアホ男。

 

結局このアホストーカーが暴露したため、姉の居場所を知ることになった。

 

……余談だが、この7年後(現在)

私がアホストーカーを警察にタレこむ日が来るとは

この時は思いもよらなかったなあ。

万一私が不審な死を遂げた場合、このアホストーカーが容疑者として浮かぶことになっている。

弁護士の名刺が信憑性を増してくれたよ。

この話はいずれまた。