二人称と他人との距離感

以前、西宮で目にしたこと。

 

40代くらいの中年女性と、自転車に跨った小6か中1くらいの少年ふたりが

踏切が開くのを待っており、私もそのすぐ傍にいた。

ひとりの少年が背中にかるってたリュックの口、ファスナーが少し開いていて

女性が「兄ちゃんリュック危ないで」と声をかけていた。

関西ではよくある光景かもしれない。

 

これを見て思った。

関西圏の二人称「兄ちゃん」って、なんて便利なんだろうと。

名前を知らない少年に気軽に「兄ちゃん」と呼び掛けられるので

このようなちょっとした注意がけで声をかけやすい雰囲気になってるのかなと。

もちろん関西が他人に気軽に声をかけやすい風潮というのもあるだろうが。

 

これが私の地元だとどうだろうと考えた。

中年女性が小6か中1くらいの少年に呼びかける、適切な二人称が無いのだ。

 

例えば自分に置き換えてみてこのシチュだと。

「兄ちゃん」呼びはウチの地域だと中年女性が使うには少々ガラが悪く感じられる。

(あくまでド田舎ウチの地域の印象での話、関西は全然ガラ悪くないと思う)

一番適切なのは「お兄さん」だろうが、高校生以上の男子ならまだアリだけど

小6くらいの男子にはなんというか、大袈裟な感じ。

小学校低学年までなら「ボク」だが、それを使う対象ではない。

「お兄ちゃん」だと、なんというか馴れ馴れしくて怪しい人に思われそう。

(あくまでド田舎ウチの地域での印象)

 

関東圏の場合、「君」一択だろう。とても便利な二人称だ。

だがド田舎ウチの辺り、相手が男児であれ女性であれ

二人称「君」という単語を使わないのだ。

ウチの辺りで「君」って使うとめちゃめちゃ気取ってる感じになる。

(あくまでド田舎ウチの地域での印象)

これが不便なとこなんだよな。

「あなた」も同等。小説などで「あなた」呼びとか、読む分には自然だけど

日常会話で「あなた」という二人称を使わない。

関東圏は普通に「君」「あなた」って使えるならなんて便利なんだろう。

 

というわけで、もし自分がこのくらいの少年に声をかけるとするならば

「ねえねえ、ちょっと」と、二人称を使わず呼びかけるしかない。

「しかない」わけじゃないだろうが、この辺りではそれが普通だ。

 

となると、ちょっとした注意の声掛けにハードルが高いんだな。

二人称「兄ちゃん」と気軽に呼べない分、声をかけていいのか迷う。

もしそれで声をかけそびれると少年はリュックから財布を落とすかもしれない。

気軽に「兄ちゃん危ないで」と声をかけやすい文化、なんて親切なんだろう。

 

関西の人が気さくで親切というのは、二人称呼びかけやすいというのがあるのかも。