「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」

 「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」評。各和感想を全部まとめて。

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「ボッコちゃん」/水原希子 ・・・☆4.1

大したことない話なんだけど、70年前の人が考えたSF装置を

そのまま体現してるところが、夢があって好き。

水原希子はこれに限らず、ルックスで得してるところはあるけれども

唯一無二の個性は好きだ。

このシニカルな話を初回に持ってくるセンスも良い。

 

生活維持省」/永山瑛大 ・・・☆3.9

良作。いろんな意味で隙が無い。

ただオチが読めてしまうのが少々残念。

でもその予定調和は心地良い。

 

不眠症の男」/林遣都 ・・・☆3

申し訳ないが、印象に残らなかった。

決して悪くないんだけど、前後で似たようなイケメン俳優作品に挟まれて

没個性になってしまった感がある。

 

「地球から来た男」/高良健吾 ・・・☆4.3

旧シリーズの同作品があまりに好き過ぎて注目した作品。

どうしても旧作と比べてしまうも、こちらも充分秀作。

詳細はあちこちに熱く書き散らかしてるので省略。

 

「善良な市民同盟」/キスマイ北山 ・・・☆2.7

前後編で分けてしまったために鮮度を失ってしまった印象。

なんでこれ1話で収めなかったかね?

北山はブラック役があまり似合わないかな。

なんならこれを林遣都で見たかったかも。

 

「逃走の道」/コウメ大夫 ・・・☆5

これは素晴らしい!

ストーリーの勢いもあるし、ショパンの曲を挿入することで

作品の空気をガラリと変える手腕は見事。

世間一般でこれが一番高評価らしいことも超納得。

 

「見失った表情」/石橋静河 ・・・☆2

はっきり言って、話が面白くない。話というか脚本が。

傑作の間に挟まれたのも運が悪かったか。

石橋静河が悪いわけじゃないんだよな、

暗い表情がハマる上に笑顔がとってもキュートでキャスティングは合ってる。

ただ、石橋静河に踊らせたかったんかなーという

忖度のようなものが見える気も。

 

「薄暗い星で」/染谷将太 ・・・☆5+++++++++++++++++++++++++++++

この作品を見て「つまんない」って言う人はいるかもしれない、それは否定しない。

でも、全ての面において私の心にドンズバなんだ。

これ以上ドンズバな作品には出会えないかもしれない。

 

15分という短いフイルムで、大きな出来事が起こるような大それた話ではない。

それなのにこんなにも心に響くなんて。

 

言い出したらキリがないけれど、まず映像の色味の美しさ。

そして染谷将太の演技。

冒頭、目を覚ましただけでロボットだとわかる目の動きをするなんて

この人は本当に怪物レベルで演技が上手いんだと思う。

物哀しく、美しいストーリー。

 

ただ、私の心にドンズバ過ぎてリピートする気力が湧かない。

心を持って行かれるので相当覚悟して見なければならない。

 

白い服の男」/滝藤賢一 ・・・☆1.5

何だこれは?全然意味がわからない????と思ったら

冒頭で戦争というのをバラしてるのがそもそも盛大なネタバレだとか。

なるほど、確かにこれが最後まで明かされなかったのなら

まあまあ面白い原作なんだろう。

延々状況説明だけのドラマで「ふーん」と思ってるうちに終わった感じ。

華氏451」を思い出し、あの映画(原作はもちろん)は良かったなとしみじみ。

 

「窓」/奈緒 ・・・☆3.5

うーん、まあまあ。

決して悪くないけど飛び抜けて良いわけではない、ホントにまあまあ。

世間の評価「後味が悪い」というのは特に気にならない。

奈緒はまあまあ良かった。

 

「ものぐさ太郎」/荒川良々 ・・・☆3.7

面白かったんだけど、有名声優に何役も演じさせたのは悪手。

声優だけが悪目立ちしすぎた。

 

「凍った時間」/村上淳 ・・・☆5

素晴らしい!歴代2番目に好き(一番は当然「薄暗い~」)。

革命家の演説や狙撃シーンに迫力が無いのはちょっと残念だけど

でも、村上淳は本当に素晴らしかった。

 

「夜と酒と」/竹原ピストル ・・・☆3.5

悪くないんだけど、私はもうちょっと幻想的な話が好みだからねえ。

点数は単に好みの問題。

 

「ずれ」/若葉竜也 ・・・☆3

シューターが登場するのが遅すぎてテンポが悪いのと

女優は何も悪くないのにボクサーマシンに殴られる意味がわからない。

あと、やっぱり幻想的でない作品はあまり好みでない。

不思議とこの作品は、過去にないほど長く感じた。

「まだ終わらないの?」と思ったのは初めてかも。

 

「もてなし」/柄本時生 ・・・☆3.5

まあまあ面白い。世にも奇妙~にありそうな感じ。

面白いんだけど、まあこんなもんかという印象。

 

「鍵」/玉山鉄二 ・・・☆4.8

これは良かった!ジオラマの世界旅行の演出がとても効いている。

話の内容も良かった。

唯一、冒頭だけが無意味なカットだったのが惜しいか。

玉山さん出演作がこの作品で良かった。すごくホッとした。

 

「買収に応じます」/田中直樹 ・・・☆1.8

加藤諒のキャラに寄り過ぎ。

例えば水原希子とか栗原類のような「ハマり役」ではなくて

完全に加藤諒のキャラありきで作られてるのがなあ。

このシリーズで初めて早送りをした。

 

「処刑」/窪塚洋介 ・・・☆3.2

雰囲気や映像は大好きなんだけど、乾きや飢えや渇望、

命を懸けてボタンを押すことへの葛藤がまるで描かれていない。

延々美しい景色を流すためだけの前後編だったのか?

映像が美しいだけに本当に残念。

 

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こうして見終えると、正直なところシリーズ見続けるのは息切れがした。

最初のワクワク感を持続させるのは難しかったというか。

作品の良し悪しというか放送の順番次第で

得をした作品もあれば、損をしたのもあるだろう。

時々好みドンズバの作品があるのでその次に放送されたものは

どうしてもおもんないと感じてしまうとか。

 

個人的にベストは、自分の好みかどうかで言えば

「薄暗い星で」

「凍った時間」

「逃走の道」

かな。次点で「鍵」「地球から来た男」「ボッコちゃん」か。

 

ワーストは

白い服の男

「買収に応じます」

「善良な市民同盟」

次点で「見失った表情」「ずれ」か。

 

作品の出来不出来でいえばまたちょっと違うかもだけど

その話はまたいずれ。