登校拒否の女子高生が近所に住む男子小学生と一緒に、パソコン(チャット)を使ってある仕事を始める・・・という話。

ネット界に於いてはリアル年齢はほとんど関係がないせいか、主人公の年齢が低くても物語に入り込めた。チャットを利用する者にとっては少なからず共感できる話だろう。全体的に抑揚の少ない、淡々とした印象を受けるが、不思議と物足りなさは感じない。無機質なネットというものに巧くマッチしている。

私の心を捉えたのは、主人公よりもチャット利用者・征爾。
(↓以下ネタバレ。スクロールしてどうぞ)
チャットをしていると、いるかもしれないこんな奴。というか実際に多いだろう。普段何をしてるんだ、オマエ暇だな。まあ、変なサイトだからおかしな奴も大勢出入りするだろう。

征爾と、雅(かずよし)の最後の会話の言葉は、本当に良かった。実際、チャットに入室してたまたまそこにいた見ず知らずの相手でも、腹を割って人生観を語れば、古くからの本物の親友のような錯覚を起こす。逆に、見ず知らずの相手だからこそ、リアルの友達には話せないような事を話せる時もある。そういう相手と別れる時、私でも言うだろう、「君に会えて良かった」と。さよならを告げてチャットを落ちると二度と会うことのない相手であっても、会えて良かったと心から思うだろう。
その後、主人公二人が現実社会へ復帰しようがどうしようが知ったこっちゃないのだが、征爾がこれからどうやって生きていくのかは、少々興味があるところだ。