『深海生物学への招待』 /長沼毅・著

先月『ディープ・ブルー』(03年英=独ドキュメンタリー版)を観た後、ちょっと疑問に思ったことをシーチキンさんにお尋ねしたところ、大変ご丁寧な回答をいただき(感謝!!)、その中でご紹介いただいた本。 
私が疑問に思った深海の発光生物のことなど、非常にわかりやすく解説されている。

水深数百メートル、そして数千メートル。一帯は青い、青い闇。その中にポツポツと浮かぶ無数の光。目にも見えないような小さな生き物が何のために光るのか。光るために光る。生きるために光る。

そんな世界が地球上の海洋全体の88%以上で存在しているのだから、狭い地上で必死になってる私の悩みなんて何てちっぽけなんだろうと痛感する。人間、いつかは海(母胎)へ還るのだ。そうだ、心を海にしよう。

「付章・深海へのあくなき挑戦の物語」では、太古の昔から世界中で深海に魅せられ、試行錯誤した様子が描かれている(と言っても目的は学術の調査だけでなく、沈没船の財宝探しや軍事目的でもあるのだが)。特に1950年以降の米ソの深海底への到達レースのくだりは興味深かった。

ところで著者は、宇宙飛行士よりも少ない深海世界への旅行者なのだが(現在は大学助教授)、とてもお若い。61年生まれでこの本を発行する96年には既に深海潜水の体験をしておられるのだから、今の私の年齢くらいで世界的な潜水船に乗り込まれておられるのだ。チャレンジ精神があれば年齢が若くても実現できるということを立証されたのだろう。

シーさん、素敵な本をありがとうございました!