ホストクラブのドキュメンタリー

この1年くらいの間に、ホストクラブや人気ホストを特集したドキュメンタリー番組を2〜3度観た。ほとんどTVを観ない私が目にしてるのだからしばしば放送されているのだろう。今ホストって流行ってるのかな。
さて、この番組を観ているうちに、なんとも「やだなー」と感じることがあった。それは決してホストという職業や、それに群がる女性客のことではない。

「お酒の扱われ方」、これが猛烈にやだなーと感じたのだ。

女性客はオキニのホストの売り上げのために、シャンパンを頼み、ボトルを入れる。人気ホストになると、それが1本何十万何百万という高価なお酒になり、売り上げ合戦が過熱してゆく。女性客の多くにとって「お酒を楽しみたいから」という以上に、「彼(ホスト)の売り上げのため」に高価なオーダーを重ね、そしてホストも女性客にどんどんお酒を注文させねばならないから、オーダーされたお酒をダラダラこぼしながらでもラッパ飲みしてさばいていき、悪酔いして酔い潰れるという光景が番組で流されていた。

もちろん、女性客がお金を払っているのはお酒そのものではなく、ホストのサービス料、もしくは彼らの「魅力料」(とでも言おうか)に対しての報酬であるのだろう。それは私も充分に理解しているつもりだ。だが、彼らとお金の間にお酒という飲食物が介在している。その飲食物を粗末に扱われているさま、それが見ていて不快だったのだ。

よく知らないけど、お酒ってのは長い間その製法が受け継がれ、丹精込めて作って何年も寝かせるんだよな。お酒には限らず何でもそうなんだろうけど、そうやって古くからたくさんの人の真心の篭った手で大事に大事に育てられて愛でられてきた大切な製品を、まさか後世で酒の味もわからんようなガキ共にラッパ飲みされてるなんて、当時それを作った職人は思ってもみないんじゃないだろうか。将来、誰かが特別な日のためにワクワクしながら封を開け、じっくりと上質のお酒を楽しんでくれる、そう願って職人さんは酒造に励んでるんじゃないだろうか。酒造に命を懸けた人だって大勢いる。ニッカの創立者竹鶴氏がこの光景見たらきっと泣くぞ。

TVカメラが回ってないところで、チップと称して現金をプレゼントするとか店外でお小遣いを渡すとか、そういう金のやり取りもありそうなものだが、それだったら全然構わないんだがな。あくまでも「酒もったいねぇじゃん!食べ物や飲み物粗末にすんなよ」というだけの話なので。

ただ、私はホスクラに行ったことはない。上記の光景はTV放映分を観た感想であって、実際はこういうことはそれほど行われておらず、私の誤解なのかもしれない。ホスクラ未経験の一視聴者にこういった誤解(かどうか知らんが)を植えつけてしまうTV番組の作り方にも問題があるとも思った。実際、多くのホスト達も番組を観て「んなことしてねーよ」って思ってるかもしれないし。