映画館の思ひ出・その2

私の両親は物凄い映画狂である。
実家はいつもケーブルTVの映画チャンネルで固定されており、それ以外のTV番組を観る事は禁止されているような雰囲気になっている。たまに里帰りした時にダリ之助に子供向け番組を見せようとしても、どうやってチャンネルを切り替えるか誰も判らず、四苦八苦しながら子供向けチャンネルを探すハメになる。

そんな両親に、昔はよく映画館に連れて行ってもらったが、レンタルビデオの普及やWOWOW加入により両親は劇場ではなく専ら家で映画を観るようになった。中学生の時に『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』を家族で観に行って以来、親と一緒に映画を観に行くという機会は無かった。

去年のお正月に帰省した際、突然母が「ダリ之助が寝た後、お父さんに留守番をしてもらって一緒にレイトショーで映画を観に行こう」と言い出した。放任主義で無口な母とは、二人で映画どころか二人で買い物に行ったことすらほとんど無いので、突然の申し出にとても驚いた。
母は観たい映画があるわけではなく「娘と一緒に映画を観に行く」ということがしたいんだな、と親不孝な私はなんとも言えない気持ちになった。ダリ之助を寝かして置いて出掛けるのは初めてだけど、一旦寝たら朝まで起きないし、父がいるから大丈夫だろう。

そして母と二人でレイトショーの映画館へ。お目当ての『K−19』は上映時間が合わずに断念。私は断固『ギャング・オブ・ニューヨーク』を推したのだが、スポンサーである母の「カネ払ってまでディカプリオ観るのはイヤ」との意見に一蹴され、結局『マイノリティ・リポート』を鑑賞。

・・・二人ともあまり趣味でない作品だったため、ますます無口になって(−−)←こんな顔して帰途についた。父の「どんな映画だった?」という問いには、二人して「・・・コリン・ファレルがかっこいい映画・・・」と訳のわからん感想をつぶやいた。

今度は父と二人で映画に行こうかな。「一緒に映画館に行く」というのがはたして親孝行と言えるのかどうかわからないけど。