ネットはカリスマを奪うのか
2009年11月13日14:42友人まで公開
「ネットはアーティストのカリスマを奪う」http://www.barks.jp/news/?id=1000055193
さすがジョン、確かにおっしゃる通りだなと思った。
かつて私が心底愛し、私の人生に莫大な影響を与えたジョンにこれを言われると少々複雑だが
実際それはあるよなと思う。情報が手に入りにくいから夢中になる。夢中になって追いかける。
その時の情熱ってネットでスイスイラクラクと情報を得られる現代では維持しにくいだろうな。
平たく言えば、ある程度(いや、膨大な)情報を得たら「気が済んだ」って状態にもなりうる。中学時代、毎月『ミュージック・ライフ』誌の発売日直後には遠くの本屋まで自転車を走らせた。
毎月買うお金がないから時々買って、あとは立ち読みできる本屋を探して立ち読みした。
それ以外の洋楽雑誌もコソコソと何日もかけて立ち読みした。
ジョンの写真集はとても買える金額じゃなく、羨望を抱き続けながらも諦めた(そして30過ぎてヤフオクで大人買い)。
レコードも買えないから遠くのレンタルレコード屋で借り、ちょっとのお金を節約するため家でダビングを終えたら当日急いで返しに行った。
2往復で20km近い距離だったが、それでもレコードをダビングできる嬉しさの前では何ともなかった。
中3になってレンタルビデオ屋が出来始めると、あちこちチャリで巡ってデュラン・デュランのビデオを探し回った。まあそれでも、当時大人気だったデュラン・デュランだから中学生でも簡単に情報を得られたが、
これが解散してた間のARBなんて聞くも涙語るも涙だ。映画にしても、ビデオの無い時代では「二度と会えないであろうこの映画」だと
スクリーンの前で必死に脳みそに焼き付けながら見たと監督の誰かが(多分、宮崎駿氏?)言っていた。
もしも百年前からビデオやDVDで簡単に何度も繰り返し映画が見られる世の中だったら
今頃何人かの映画監督は存在しなかったかもしれない。ただ、だからといってネットが浸透した今の世の中が悪いというのではない。
その時代に応じた文化は絶対に芽生えているし、ネットがあるからこそ出来る時代に合わせたファン活動もあるし
上記のジョンの発言にしても「時代の流れに乗れなかった男」「言い訳」と見る人はいるだろう。それと、シュワルツネッガー氏は本当にネットを巧く利用して活動を行っていると思う。
TwitterにしろYOUTUBEにしろ、自己アピールと宣伝の巧さはさすがだ。
(さすがというか相変わらずさすがというか)
アーノルドさんに関して言えば、ネットは確実に彼のカリスマ性を高めてると思う。もしも私の青春時代、今のようにネットが浸透していたら
デュラン・デュランとアーノルドさんとARBをここまで追いかけただろうか。うーん、やっぱり「執着はとうの昔に消え去っていた」「ファンであることを辞めた」とは思わないな。
情報を得る手間は変わっても、想う気持ちは変わらない。
14年くらい前の日記だが、日記自体ではなく
この時のコメント欄がめちゃめちゃ深い。
さすがに他の方が書かれたコメントをここに転載するのは控えるけど
「皆様のレス、なるほどなーととても興味深く読みました。
これだけ話が広がるのも、さすがマイミクの皆様すごいなー。」
と書いてる私。
これよこれ、mixiが楽しかったのはここなんだな。
私がこういう理屈っぽい日記を書いたら
皆さん本気で考えてご自身の意見をコメントくださって
それを読むのがmixiの醍醐味だった。
さて、これが現在、この時とはまた少し違う状況にいる。
この時はまあかいつまんで言えば
「情報がネットで簡単に手に入るから情熱維持が云々」って話だったけど
現在、哲さんの過去作を(お金かけれないから)ネットで拾いまくって
「ネットで昔の動画を入手できるからこんなに燃えた」という面がある。
これがもし、この頃(13年くらい前)のように
情報だけはすぐに入手できるけど動画までは見られない状態だったら
今ほど哲活が盛り上がってただろうか?
哲活の場合、音楽が付属するデュラン・デュランや凌さんとか
映画は公開されほぼ全てソフト化されるアーノルドさんとは事情が違う。
大昔のチョイ役とか中昔の脇役の映像を探しまくってやっと見つけて
それを見たことで盛り上がってる部分がある。
じゃあネットが発達してなくて昔の動画入手が困難もしくは不可能だったら
ここまで情熱を保てたかな、と考えると。
その時代に合わせた推し活(って言葉はまだ無かった)があるんだな。
80年代には80年代の、現代には現代の。
30代の自分はこう書いている。
「その時代に応じた文化は絶対に芽生えているし、
ネットがあるからこそ出来る時代に合わせたファン活動もあるし~」
50過ぎて熱心に「時代に合わせたファン活」やってるなんて
思いもしなかった30代の自分。